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ガーデンフィロソフィ
(3)オープンとガーデンという言葉の捉え方〜外来語の定義付けはなされているのか?〜
 現在日本における家庭園芸はガーデニングと称する時代となりました。
 そもそも園芸という分野は栽培のHow「いかに」というところに強い関心を持っていました。一方、造園という文化はWhere「どこに」という関心が強い分野だと思うのです。
 この2つの分野がなかなか対話せずに、今日まで業界は進んできたのです。つまり造園では木をどこに植えるのか?、石をどう飾るか?というところを議論するわけですが、その植物の育て方、生かし方などの植物生理についてはあまり深く考えてこなかったような気がします。
 一方、園芸の方はいかに育てるかというところに興味を見いだして、どこに植えるかという点では植物中心の植え方ばかりでした。また、バラバラの鉢物が中心の路地園芸はこうすれば美しいというような全体の統一感についてはあまり考えてこなかったような気がします。
 この両者の断絶した過去の悪関係も少なからず影響し、いまのガーデニングブームを創ったとも考えられます。簡単なコンテナガーデンから始まり、お決まりのラティスやパーゴラ、テラコッタ、ハンギングバスケットなどのガーデニングアイテムを取り揃えれば、すぐにガーデニングをマスターしたような気になってしまうところが、現在の最も恐いブームの実状だと思います。
 すなわちデザイン重視のコンテナガーデンや人目ばかりを気にする装飾園芸ばかりに走れば、「本来の園芸とはなにか?」というところで、いつか壁にぶつかってしまうと思うのです。

 そもそも西洋におけるガーデニングという言葉は、園芸と造園の両方の意味を含んでいて、両者の区別がない言葉です。
ガーデンにINGが付いているので、進行形、つまりあえて訳すると庭いじり(庭いじりまくり)、庭造り(庭造りまくり)、庭仕事(庭仕事しまくり)という意味になります。園芸はホーティカルチャー(horticuluture)という英単語に訳しますが、あくまでもアグリカルチャー(agriculture:農業)にならって生まれてきた単語だと思います。
 しかしホルタス、囲われた庭を栽培するといった語源からもやはり庭作りから生まれた単語なんでしょう。
 ですから、ガーデニングという本来の意味から考えると、やはり園芸と造園の両方の意味を含んだ上で、庭をINGするべきなんだと思います。つまり庭は変化し続けないといけないのです。いじくりまわすことに意義があるのです。

 現在、オープンを使った用語には、【オープンキャンパス、オープンハウス】、【オープンカフェ】、【オープンエクステリア、オープンカー】、【オープンスペース】というような和製英語的に、言葉の捉え方が微妙に異なりながらも、非常に幅広く日本語に取り入れられていますが、オープンガーデンのオープンという意味合いは、オープンキャンパスに非常に近い使い方がされていると思います。
  つまり「普段開放していないけど、ひとときだけ開放する」という意味合い、ある種の社会貢献を意味するような形で使われていることが最も多いものだと思います。しかし日本語には戸外室というべきなのか、オープンカフェという生活様式に関する用語にも使われ、さらにオープンエクステリアという用語は、通路や生け垣で邪魔されず、視界がふさがれていない、開放的なデザインをした庭にも使われていたりします。オープンカーも当然デザインとしての意味合いで使われています。オープンスペースなどは余地、空き地と訳すべきものですが、自由に利用できるという意味合いで使われる用語でもあります。
 日本語には、どんな外国語であっても響きがよければ敢えて訳すことなくカタカナ表記で受け入れられるというすばらしい点がありますが、意味が漠然としていたり本来の言葉の意味からずれていてもそのまま流行するというような融通がききすぎる恐さもあります。


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