ハワイでの生活は楽しかった。サガワ先生は朝6時には起床され、
ケロッグのフレークにバナナを刻んだものを混ぜてミルクをかけて召し上がるのが先生の朝食であった。それは完全に一日の始まりという日課となっていた。 朝食を済ませると、先生はアーボレータム(植物園)の園長も兼任されていたため、 大学の研究室に行く前にアーボレータムを見回りにいっておられた。小生は7時頃にごそごそ起きて、 流しのゴミ入れに「先生が食べたバナナの皮」が入っているかを確認して(体調の悪いときはバナナを食べられないので)、 先生が入れてくれたKONAコーヒーを一杯飲んでいくのが、日課であった。 先生が入れるカフェはとても苦くて(ストロングで)、最初は飲める代物ではなかったが、 帰国時には慣れてしまって、日本の喫茶店のコーヒーは薄すぎてお湯を飲んでいるように 感じてしまうようになっていた。 先生はとてもきれい好きな方だったので、流しを汚すことはタブーだった。 だらしない小生は使うことを遠慮してしまうほどきれいな台所環境であった。 毎朝チャリンコで高台から一気に飛び出していく。 ペダルを一切こぐ必要がないほど、急な坂道を駆け下りていく爽快感は何とも言えないものであった。 |
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ハワイ大学のキャンパスにて |
ハワイ大学 |
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大学までの途中にABCストアがあり、そこに立ち寄って「NACHO」(トウモロコシでできたチップス)を購入していく。
これが朝食だった。 研究室にたどり着くと、清掃中のプエルトリコの留学生、オランド氏がいつも朝食の大半を食べてしまっていた。 中米特有のとても陽気な人だったので、ついつい相手のペースに巻き込まれて食料を奪われていた。それでもとにかく楽しかった。 韓国からはキム氏が大学院に留学しており、ファレノプシスのエンブリオジェニックカルスの研究をしていた。 すごく無口な真面目な方であった。 ある時、キム氏に培地を調合するために「鍋を持って(ホールド、プリーズ)」と言われているのに、意味が分からず、 「ホールド アップ」と勘違いして、キム氏の前で両手を挙げてたたずんでいると、キム氏は怒りもせずあきれもせず、 「ホールド ミーン ライク ディス(持つという意味はこうだよ)」と片手ずつ鍋を持たせてくれたことはいまだに脳裏に焼き付いている。 ベトナム戦争時に米国に移住してきたハーさんは、時折研究室に来ては、とても早いおしゃべりをして帰っていった。 とにかくアメリカ特有の多国籍でありながら、人間としての優しさにふれた日々であった。 英会話の手助けにと、ハワイ大学のカラテ体育実習でインストラクターをさせて頂いたり、 放課後のカラテクラブで暴れたりと、英会話が流暢で行えない分、ストレスが溜まらないように体力を消耗させていた。 こういった経験は、現在の小生に多大なる影響をもたらせてくれた日々であった。 |
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ハワイ大学 |
プエルトリコの友人オランドと |
2004年のハワイ大学研究室 |
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