驚かされたことは、研究室の付属温室で観葉植物の変種を選抜して、さらに研究室内でメリクロン増殖を行い、
そのマザーフラスコ1本を持ってカリフォルニアにあるトワイフォード種苗株式会社に売り込みに行くのだ。 小生も鞄持ちで同行したのだが、持ち込んだ商品は300mlのフラスコ1本のみである。 きれいなビジネスというか、スマートというか、サガワ先生が物静かに商品の特性をスライドで説明されて、 契約書にサインすれば完了。次週には研究室に資金が入ってくるのだから、つくづくサガワ先生はかっこいいなあと思ったものだ。 日本の研究室と異なる印象を持ってしまうのは、自由という雰囲気ときれいな空間だろう。 掃除やフラスコ洗いに関することまでサガワ先生自身が学生をアルバイトで雇われていたし、まったく学生や研究員を拘束しない環境であった。サガワ先生ご自身もデスクワークが中心だが、 突然継代作業を行われることもしばしばあった。 また育種も様々な植物で行われており、ファレノプシスの果実もよく無菌播種させられた。 先生はフウラン系統の後代もお好きらしく様々なハイブリッドをお集めになっておられた。 |
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ロータリーシェーカー |
近い将来、新品種になるクローン |
クリーンベンチ |
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最近のバイオ技術の進歩には目を見張るものがある。技術は日進月歩していくべきだが、新しい発見が生まれるには、
生み出しやすい環境が必要なのであろう。育種作業も同様である。育種しやすい環境を作り出す必要があるのだ。 サガワ先生に師事して最大なる教えを授かったことは、生きていきやすい環境、研究しやすい環境、 ストレスが溜まらない環境、自然を大切にする環境、自由な空間、拘束されない権利、 自分を厳しく律する精神を作り出すことである。閉じた口がへの字にならず、自然と笑みがこぼれてくるような、 生き方がアメリカンなんだろうと思う。今の日本の培養技術はやはりサガワ先生がおられたから存在していることを再確認し、 心から感謝したいものである。 論文のための研究ではなく、技術が少しでも進歩して人類が未来永劫繁栄していけるような世界を目指して研究するのである。 今後、ますますの発展と繁栄を心から願ってやまない。 |
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ハワイ大学の植物生理学研究棟 |
ハワイ大学付属の温室 |
トミーの師匠、Dr.Yoneo Sagawa |
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